第九講 予想貸借対照表|その他項目の扱い
借入金・社債の予想
借入金や社債についても、原則は期中の増減で考えます。
- 期首借入金 + 借入 - 返済 = 期末借入金
現金がカツカツな企業は別として、どれくらい借り入れるかは第三者の視点で推測するのは難しいので、実務上は変動しないと考えることも多いです。
- 期末借入金 = 期首借入金
借入金という比較的重要な項目を横置きすることが多いのは、割引キャッシュフロー法(DCF法)の価値算定結果に影響を与えないからです。
この点については今後の講義で解説するので、現時点で理解しておく必要はありません。
予想しないことに対して不安がある方は、DCF法で必要にならないからだと理解しておいていただければ十分でしょう。
利益剰余金の予想
利益剰余金は期中の増減で考えます。
原則論ではなく、まず間違いなくそうします。
- 期首利益剰余金 + 純利益 - 配当 = 期末利益剰余金
利益剰余金の期中の増減で考えるのは、そうしないとキャッシュフロー計算がうまく行えないからです。
配当は、純利益に連動すると考えるのが自然です。
純利益に対する配当金の割合を配当性向といいます。
- 配当 = 純利益 × 配当性向
資本金・資本剰余金
資本金や資本剰余金は、変化しないと考えるのが一般的です。
増資が決まっている場合などは扱いが難しいですが、将来の増資を仮定してモデルを組むことまずありません。
その他の資産・負債
その他の項目については、売上高に連動させるか変化しないと仮定することが多いです。
もちろん、金額が大きく重要だと思われる項目については、切り出して予想するのが良いでしょう。
- 期末その他流動資産 = 売上高 × 売上高に対する割合
- 期末その他流動資産 = 期首その他流動資産
その他の項目は雑多な資産や負債の合計値ですから、どう予想すべきか自体が明確ではありません。
もし売上高に連動させるのであれば、資産も負債も連動させるのが自然でしょう。
一方で、もし売上高に連動させないのであれば、資産も負債も連動させないのが自然でしょう。
どちらかに統一されていれば問題はないと思います。