財務モデルのフォーマット|色・フォント・罫線・書式

財務モデリングにおいてフォーマットが重要である理由

財務モデルにおいて、正確であることや拡張性に富んでいることは重要です。

例えば、財務モデルの正確性を確認するときには、「予想を行ったセルだけを確認したい」といったことが良く起こります。

このような場合に、スムーズに確認をできるようにするのが、フォーマットを整える目的です。

誤解されることも多いですが、財務モデリングのフォーマッティングは、見栄えをよくするために行う作業ではありません。

フォーマッティングの原則と慣習

財務モデリングのフォーマッティングには共通のルールがあるわけではありません。

細かい色の指定などは職場やモデルの作成者によって異なるのがふつうです。

しかし、慣習的なルールは存在します。暗黙のうちに、多くの人が共通で使っているルールがあるということです。まずは、そういったルールを覚えていきましょう。

財務モデルにおける文字色の使い分け

財務モデルの文字色は、最も基本的なフォーマッティング・ルールの1つです。

  • 青文字:数値を直接入力したセル
  • 黒文字:シート内で計算を行ったセル
  • 緑文字:他シートを参照している

このように色分けをすることで、1セルずつ確認しなくてもどこを参照しているのか(参照していないのか)を確認することができます。

厳密なRGBの指定はありませんので、青っぽい色と緑っぽい色を使えば十分です。ややポップな印象となりますが、水色や黄緑を使ったほうが可読性は高くなります。

文字の色分け

財務モデルにおけるハイライトの使い分け

財務モデルでは、予想を行った個所や「後で確認する」箇所などをハイライトすることが多いです。

厳密なルールはありませんが、予想を行ったセルは黄色やオレンジでハイライトされることが多いです。

例えば次のようなルールが考えられるでしょう。

  • 黄ハイライト:これから数式を入力する予定の範囲
  • 橙ハイライト:予想を行った入力したセル
  • 赤ハイライト:エラーなどのため、後で見直す必要のある範囲

赤などの目立つ色でハイライトしておけば、見落としが少なくなると思います。

ハイライトの色分け

財務モデルにおける罫線の使い分け

罫線は見やすさのために使うことが多く、厳密なルールは設定しないことがほとんどです。

一般的なフォーマットの例をいくつか挙げると下のようなものがあります。

  • パターン1 水平の細い線(Hairline)のみ使用する
  • パターン2 合計値などを囲むだけ。ほかの部分では罫線を使わない
  • パターン3 予想値などを囲むだけ。ほかの部分ではほぼ罫線を使わない

財務モデルにおける書式

書式については、負の値に()を付し、数値の桁を合わせるために正の値には ) 分のスペースを入れることが多いです。正の値と負の値で桁を揃えるためです。

セルの書式設定から「表示形式」「ユーザー設定」を選択し、書式を入力することで設定できます。

セルの書式設定 - 数式の表示形式(Number Format)

負の値には、単にマイナス符号を使うケースもありますが、財務モデルでは()を使うことのほうが多いと思います。見落としづらくなるためです。

財務モデルにおけるフォントの選び方

見やすいフォントを設定することで、財務モデルのミスを発見しやすくなります。

どのフォントを選ぶかは好みの範疇ですが、モデル全体でフォントとフォントサイズは統一しておくのが良いでしょう。

フォントやフォントサイズがバラバラである場合、シートごとに列の幅や数字の幅が異なってしまい、誤読や参照先のミスが発生する原因となります。

財務モデルのフォント

ArialやTimes New Romanを使う場合、日本語フォントがないため、フォントを設定するのがやや面倒になります。ただし、文字幅が狭くて扱いやすく、手間をかけて使っている人も多いです。

Meiryo UIは、文字幅が狭く、スペースが限られている場面でも使いやすいイメージがありますが、これは漢字や仮名のみの特徴です。英数字については、Arialや游ゴシックよりも幅広である点に注意しましょう。

以上の理由から、個人的には游ゴシックを使っていることが多いです。最新のエクセルのデフォルトが游ゴシックですので、特に設定をしなくても、自然とフォントを統一できる点も長所です。

その他よくある質問

負の値を赤文字にすべきか

財務モデルでは、負の値を赤字にすべきではありません。

なぜなら、負の値を赤字にしてしまうと、入力した負の値なのか計算した負の値なのかがわからなくなってしまうからです。

文字色は、入力・計算・他シート参照を区別するために使います。

負の値に△を使うべきか

日本では負の値に△を付けるケースがありますが、これは日本独自のルールのようです。

強いこだわりがある場合は△を使用してもよいと思いますが、外国人などが見る資料で使うと通じない可能性も高いので注意しましょう。

全体的に列幅が広くなり、モデルの一覧性が下がるという点にも留意が必要です。

ゼロのときにハイフンにすべきか

書式を "#,##0_); (#,##0); -_)" などと設定すると、ゼロのときはハイフンで表示されます。

セルの書式設定

ゼロなのか約ゼロなのかを区別するために、ゼロをハイフンで表示すべきだという意見も見かけます。

しかし、エクセルではN/A(Not Available)の意味でハイフンを使うことも多いため、数値が入力されていないセルなのか、ゼロなのかを区別しづらくなります

また、PGRなどの範囲について「- ~ 0.5%」というような書き方になっていると、ぱっと見で 0.0% ~ 0.5% の範囲であるということがわかりづらいと思います。

このため、個人的にはゼロは 0 と表示するのが良いと思います。

そもそも、有価証券報告書自体が百万円以下切り捨てで作られており、ゼロと約ゼロを区別することの意味はそれほど大きくないと考えています。

フォーマッティングの目的を理解して、確実に適用する

財務モデルのフォーマッティングは、おしゃれのためにやっているわけではありません。

作業効率を向上させ、ミスを減らすために行うものです。

この意識をもって、シンプルかつ効果的なルールを作るのが良いでしょう。

複雑なルールを作ってしまうと、ルールを守るために気が散ってミスが増えてしまったり、ルールそのものを守れずに形骸化してしまう可能性があります。

最低限のルールを100%守ることを意識するのが好ましいといえます。