第二講 財務モデリングに必要な知識とは?
財務モデリングのための簿記の資格は必要か?
最もよく聞かれる質問の1つです。
結論から言えば、財務モデリングのために簿記の知識は必要ありません。
簿記は決算書を作成するためのルールであり、財務モデリングは作成済みの決算書に基づいた分析です。
決算書が読めれば十分なのであって、決算書を作れる必要はありません。
財務モデリングに必要な知識は何か?
財務モデリングのスキルを習得するために最も学習すべき知識は、財務モデルの知識です。
学習すべき知識の比率を簡易的に図解するとした下のようになります。
財務モデリングの学習において最も必要となる知識は、どのような構造のモデルにするのが好ましく、どのように数式を組み立てるとうまくいくのか、といった知識です。
このような知識は、企業金融でも会計でもなく、エクセルスキルとも少し異なる、財務モデルに関する知識といえるでしょう。
次点で必要になるのは企業金融の知識です。バリュエーションの手法や考え方など、金融理論・金融実務の知識が必要になります。
その次がエクセルのスキルであり、最後の会計・税務となるでしょう。
もちろん、会計や税務の知識を軽視してよいというわけではありませんが、学習段階で要求される会計・税務の知識は多くありません。少なくとも、企業金融の知識のほうが重要です。
財務モデリングでは、理論よりもノウハウを大事に
以上のように、財務モデリングのスキルを獲得するためには、モデリング独自の知識が必要になります。
机上の理論上でどうあるべきかももちろん大切ですが、それ以上にどのように計算すればうまくいくのかを覚えることが重要になります。
財務モデリングでは、厳密な方法で計算しようとすると50時間かかるものが、合理的な範囲で簡易化すると10時間で済むといったことが良く起こります。
財務モデリングの学習をするときは、理論と実務を区別することが重要です。
まずは実務上のノウハウを吸収していくことを目指しましょう。