財務モデリングにおいて、第三者が正確な業績予想をできるのか【質問箱】
質問箱でご質問いただいたものです。
ご質問:将来の業績を予測することが可能なのか
PLの過去実績を並べるだけで、どうやって今後の値を求めているのでしょうか。
有価証券報告書等に載っているものをエクセル上にきれいに載せる所までは自力でやってみたのですが、第三者の自分のような人が、その後の数字予測って可能なのか?と思った次第です。
"Peing" - 一部抜粋
結論としては、正確な予想はできません
学習者が最もよく悩むポイントの1つですね。
結論から言うと、将来のことは誰にも分かりません。
もし、将来の業績を正確に予想することが目的であれば、もはや神にでもなるしかないでしょう。
財務モデルは、「仮にこういった業績になるとしたら、企業価値はこれくらいになる」ということが分かるようになるツールでしかありません。
だからこそ、業績予想を何パターンも作成するわけです。
パターンAの業績なら価値はA'くらい、パターンBの業績なら価値はB'くらい、という変換を行います。
価値はいくらか?を直接考えるよりは、どのパターンの業績になる可能性が一番高そうか?を考えるほうが分かりやすいので、財務モデルが有効になります。
企業買収のような文脈でも同じです。
X社の買収価格として1,000億円は妥当か?とだけ聞かれたら、答えようがありません。
そこで、財務モデルを活用し、「仮にX社の事業計画通りの業績になるのであれば、価値は1,200億円くらいになる」という分析を行います。
X社の事業計画通りになりそうか?という質問であれば、当初の質問よりは考えやすいでしょう。
私の配信でも、「過去と同水準の成長が続くのであれば、価値はこのくらいになる」という言い方をしているはずです。
そこから派生して、過去よりも成長が加速するならこう、成長が鈍化するならこう、といった業績のパターンを作成しています。
財務モデリングにおいては、あとから編集しやすい数式にすることが非常に重要ですが、その理由は、このように後でいろんなパターンの予想を作成し、何度も何度も予想を修正するからです。