第一講 財務モデリングとは?
財務モデリングとは?
財務モデルを作成することを財務モデリングといいます。
財務モデルは、事業計画や業績予想を予想財務3表に、予想財務3表を企業価値に変換するツールです。
業績予想も財務モデル内で作成していくことが多いですが、どちらかというと「自分で考えた業績予想を変換するツール」という位置づけです。業績の予想は、財務モデリングそのものではありません。
オペレーティング・モデルとバリュエーション・モデル
事業計画や業績予想を予想財務3表に変換するための財務モデルをオペレーティング・モデルといいます。
予想財務3表を企業価値に変換するための財務モデルをバリュエーション・モデルといいます。
また、バリュエーション・モデルはオペレーティング・モデルを内包していることが多く、この場合は、事業計画や業績予想を企業価値に変換することができます。
財務モデリングの学習方針
バリュエーション・モデルは、オペレーティング・モデルを作れなければ作れません。
そのため、まずはオペレーティング・モデルを作れるようになり、次に、バリュエーション・モデルを作成できるようになることを目指します。
オペレーティング・モデルの学習:財務モデリングに慣れること
オペレーティング・モデルは、会計とエクセルについての基礎的な知識があれば十分です。
企業金融の予備知識はあまり必要になりません。
売上高から売上原価と販管費を引くと営業利益になる、といった基礎的な会計知識があれば十分でしょう。
予備知識に不安のある方は、以下の書籍などに目を通しておくことがおすすめです。
バリュエーション・モデルの学習:金融理論と金融実務のバランス
バリュエーション・モデルを作成するためには、企業金融の理論に関する知識が必要になります。
詳細は以降の講義で解説していますが、現時点で注意すべきことは金融理論と金融実務には異なる点があるということです。
金融理論はあくまで理想論であることが多いのですが、実際には理想通りには計算できないことが多いです。
このため、「理論とは異なる計算方法だが、現実的にはこういう計算方法をするしかないよね」という考え方をする場面がいくつも出てきます。
したがって、当講座に先立って金融理論の学習をする必要はありません。金融理論はある種の理想論であって、そのままでは財務モデリングに生かせないからです。
財務モデリングに必要な理論に関する知識は、この講座内で解説いたします。
金融理論に興味のある方は、当講座を通して簡単なモデルを作れるようになった後に、書籍で勉強するのがおすすめです。
私が最も推奨している理論の書籍はこちらですが、財務モデルを作れるようになった後に読み始めれば十分です。